あれ?SNSシェアボタンが少ないなぁ…
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こんにちは!トクシル(@tokushiru)だよー
人類の進化的な内容だね
当記事のエビデンス
中澤公孝(2017)パラリンピックブレイン―パラアスリートに見る脳の再編能力―.計測と制御,2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl/56/8/56_595/_article/-char/ja/
西薗秀嗣(2018)脳・神経系の可塑性と身体能力に関する研究パラリンピックアスリートのシューティング解析から.九州産業大学・スポーツ科学センター.健康・スポーツ科学研究.第20号
http://repository.kyusan-u.ac.jp/dspace/bitstream/11178/7923/1/20-06-nishizono.pdf
パラアスリートの「脳」から次々と新発見!脳の驚異的な再編能力と、その可能性とは?
https://www.ssf.or.jp/ssf_eyes/history/tokyo2020_column/07.html
パラリンピアンの驚異の脳、障害と訓練で回路が超再編
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01267/00100/
笹川スポーツ財団.パラリンピアンの脳はどうなっている?
https://www.ssf.or.jp/ssf_eyes/history/tokyo2020_column/07.html
今回は、脳の不思議な世界についてお話しします。当記事を作成中に「代償反応」という言葉の定義を抑えようとしましたが、参照した文献によってその定義が若干異なっていました。さらに、似たような「機能代行」という言葉も出てきました。
…こんなときは、AIです!
代償反応と機能代行との違いは?
「代償反応(compensation response)」と「機能代行(functional substitution)」は、脳の損傷や障害に対する適応の方法を指す似たような概念ですが、微妙な違いがあります。
代償反応は、脳の特定の部分が損傷を受けたとき、他の部分がその損傷を補うために機能的な変化を示す現象を指します。これは、損傷を受けた部分の機能が他の部分で補償され、患者がある程度の機能を維持できるようになるというアイディアに関連しています。
機能代行は、特定の認知機能や運動機能などが損傷を受けたとき、他の脳の領域やシステムがその機能を代行する現象を指します。つまり、損傷を受けた機能が他の部分によって引き継がれ、患者が日常生活を続けるのに必要な機能を維持できるようになるという考え方です。
代償反応は、特定の部分の損傷を他の部分が補う過程を指す一方、機能代行は、損傷を受けた機能が他の部分によって引き継がれる過程を指します。
ふむふむ…納得とはいかん笑
代償反応の枠組みの中に機能代行があるという認識でよいか?
はい、代償反応の枠組みの中に機能代行が含まれます。代償反応は、損傷を受けた脳の部分が他の部分で損傷を補償する過程を指す広範な概念です。この中には、損傷を受けた機能が他の部分によって代行される状況も含まれます。つまり、機能代行は、代償反応の一部として理解されます。
ありがとうございます。スッキリしました。
これらの概念を理解した上で、代償反応の枠組みの中に機能代行が含まれることを考えると、脳の働き方の複雑さが分かりますね。
以前の記事もご参考にしてください。
脳と半身は動作が逆の関係にあると言われています(神経の交叉性)。例えば右腕を動かすときは左脳が働き、左脚を動かすときは右脳が働きます。つまり、一般的な肢体不自由者の場合、右腕が欠損している場合は、左脳が働いていない可能性があり、左脚が欠損している場合は、右脳が働いていない可能性が考えられます。
パラアスリートであり、ブレードジャンパーの異名を持つ「マルクス・レーム」選手の研究から、驚異的な発見がありました。トレーニングによって、義足側の右脚の膝を動かす際に、左脳だけでなく右脳も機能していることが明らかになりました。この研究から浮かび上がるのは、2つの重要なポイントです。
レーム選手の場合、義足側の右脚の膝下は欠損しているため、左脳は十分に機能しない可能性が高いはずです。
しかし、MRIで脳を確認すると、義足側の右脚の膝部分を動かした際に左脳が機能していることが明らかになりました。つまり、脳が右脚の膝下、つまり義足を「脚」と認識しているといっても過言ではないでしょう。
通常、義足を扱うことは非常に難しいとされており、初めは立つことすら難しい場合もあります。さらに、走り幅跳びを行う際は、踏切までの助走スピードや歩数など、細かい調整が必要です。
しかし、レーム選手の場合、義足側の右脚を動かす際には、左脳だけでなく右脳も機能していることが分かりました。この現象が、高度な技術を可能にし、驚異的な記録を出す要因につながっているのではないでしょうか。
タイトルをタップすると
内容を確認できます。
パラスイマーと義足の走り幅跳び選手を対象に、運動時の脳の活動について調査しました。パラスイマーは、脳卒中による損傷があり、陸上運動において麻痺が見られます。しかし、興味深いことに、水中では麻痺を感じさせないなめらかな動きが可能であることが明らかになりました。一方、走り幅跳び選手は、義足側の右脚の膝を動かす際に、左脳だけでなく右脳も活発に機能していることが判明しました。興味深いことに、異なる義足を使用する走り幅跳び選手でも同様の調査を行った結果、両方の脳が機能していることが確認されました。
34歳の上肢がないアーチャー、Matt Stutzmanは、筋電図、モーションキャプチャー技術、高速度ビデオで解析され、他の選手と比較されました。Mattは下肢と体幹筋を使い、独自のシューティング技術を持っています。彼の下肢筋は発達し、大腿周径は他の選手よりも16cm大きく、強力な弓を引ける能力があります。彼のリリース時のボウの安定性はトップ選手を上回っています。彼はハンディキャップを克服し、驚異的な身体能力と脳・神経系のメカニズムを習得しました。この経験から、個人の努力だけでなく、社会全体で環境づくりが必要だと指摘されています。
パラアスリートの脳の進化がさまざまな方面に期待されるとともに、特別支援の観点からもこの成果を活用できないかと考えました。以下の画像を参考にしてください。特に下半分の内容に注目してみてください。
以後はトクシル自身の主観的な意見も交えてお話ししたいと思います。パラアスリートたちのトレーニングに焦点を当て、どのようなトレーニングが必要か、具体的に探ってみたいと思います。
脳の進化が超人的な能力の獲得につながる可能性を理解しました。では、義足のパラリンピアンたちはどんな条件でトレーニングを行っているのでしょうか。一般的なトレーニングの条件である「時間」「強度」「頻度」の観点から考察してみましょう。
義足のパラリンピアンたちの競技デビューから好成績を残すまでの期間を調査してみました。以下がその結果です。
マルクス・レーム 選手
2003年 右脚の膝下を切断
2005年 義足で競技デビュー
2012年 ロンドン五輪で金メダルを獲得
パラサポWEB.走り幅跳び世界王者のオリンピックにかける夢
プロフィールの詳細はこちら
3名とも競技歴が浅く、短期間で結果を残していることが理解できます。
引用元で掲載した中澤教授の興味深いコメントがありました。彼は次のように述べています:
つまり、
義足のアスリートたちは膝関節の有無によって、義足ではない脚の扱いや動きの難易度が一層高まる
=義足側と義足ではない側の脚の使い方は全く異なる
ということになります。
おそらく義足ユーザーになった初期段階は、歩行すらままならないレベルであるため、競技だけでなく生活そのものがトレーニングになっていると考えられます。
そう考えると、短期間の競技歴であるものの、超高頻度のトレーニングを行っているかもしれません。毎日24時間トレーニングといっても過言ではないですからね。
一方で、トレーニング効率という観点では、生活全般がトレーニングになるため、タイパが良いトレーニングをしているという見方もできるかもしれません。
3名とも義足のパラリンピアンであることから、言わずもがなトレーニングは高強度であることが推測できますが、身体より脳への高強度トレーニングと考えた方が良いかもしれません。異なる役割をもつ両足を使用して、歩行レベルから五輪金メダルレベルまで技術的に高めるトレーニングを短期間で達成するためには、高強度かつ高頻度のトレーニングが必要であることは納得がいきました。
つまり、トレーニングとしては
短時間・高強度(脳)・高頻度
であったことが推測できます。
正直に言って、彼らのトレーニング内容を一般化することは非常に厳しいでしょう。彼らがトレーニングを可能にしているのは、目標設定の高さだけでなく、パラアスリート特有の支援者との関係の濃さだと考えられます。例えば、義足のパラアスリートであれば、
かもしれません。
こうした支援者との関係性の濃さは健常者のアスリート以上でしょう。
少し話題が逸れますが、もうすぐ「全国障害者スポーツ大会」が開催されます。国民体育大会の障害者verですね。
昨年の栃木大会です。見ていただけると、支援者の多さがご理解いただけると思います。
特別支援の役割は、具体的なアプローチ方法を検討するだけでなく、トレーニングを支える目標設定と支援者の存在によるモチベーションの維持に目を向けることかもしれません。
こうしたトレーニングを支える土台がしっかりしてれば、アプローチの幅も広がり、良い結果に結びつく可能性が高まります。逆に、土台が不十分であれば、トレーニングが継続しない可能性も高まるでしょう。特別支援の専門性は、肢体不自由者にトレーニングのスタートラインを提供することに貢献できるのではないかと考えました。
運営者自身が肢体不自由領域の専門家ではないため、ここで述べた内容は参考程度に受け取っていただければ幸いです。
いつもよりボリューミーな内容でした。
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