あれ?SNSシェアボタンが少ないなぁ…
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こんにちは!トクシル(@tokushiru)だよー
吃音と聞くと、上手く話せないイメージが強いかな。
当記事のエビデンス
菊池良和(2019).吃音症の遺伝学.小児耳.2019,40(3),231–235
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/40/3/40_231/_pdf
感覚機能系障害研究部長.森浩一.吃音(どもり)と聴覚が密接に関連- 吃音早期からの大脳言語処理
http://www.rehab.go.jp/rehanews/japanese/No332/6_story.html
Yutaka Sato,Koichi Mori,Toshizo Koizumi,Yasuyo Minagawa-Kawai,Akihiro Tanaka,Emi Ozawa,Yoko Wakaba,Reiko Mazuka.(2011).Functional lateralization of speech processing in adults and children who stutter.Front.Psychol,27 April 2011.Sec.Psychology of Language volume2-2011(吃音のある成人および小児における音声処理の機能的側方化)
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2011.00070/full
菊池(2019)によると、以下のように定義しています。
吃音症は2歳から5歳の間に人口の5~11%に発症し、発症後3年で男児は約6割、女児では約8割自然回復し、小学生以上は世界各国で1%の有病率のある発話の流暢性障害である。吃音症の名称がDSM-5では小児期発症の流暢症に,ICD-11では神経発達障害内のDevelopmental speech fluency disorder(発達性発話流暢症)と名称変更され,日本の法律では発達障害者支援法にも含まれ,大きく疾患概念が変わりつつある疾患である。
アメリカ大統領のジョー・バイデン氏も吃音があると話題になりました。
DSMとICDについては、
こちらで詳細を説明しています。
吃音の定義におけるキーワードはこちら
他の障害とは異なる大きな特徴が「自然治癒が期待され、その確率も高い」ということです。しかし、回復率が高い障害であるものの、慢性化する可能性があるのも事実です。
タイトルをタップすると
内容を確認できます。
吃音の人と吃音でない人に対して言語刺激を出して比較したところ、吃音の人は左聴覚野が上手く使えないため代わりに右聴覚野が優位に機能していることが明らかになった。左聴覚野は主に言語処理と詳細な音の特性解析に関与し、右聴覚野は音楽や非言語的・感情的な音の側面に焦点を当てる傾向がある。両聴覚野は、音の理解と認識に協力して重要な役割を果たす。
この事実は、吃音の改善や治療において脳にアプローチする可能性を示していることと、吃音と聴覚は密接に関係していることを示している。
吃音の人は、メトロノーム下や歌といった状況では、すらすら言語を出せるみたい。これも右聴覚野が関係してるのかな。
yairi(2014)は吃音が発症後に慢性化するか回復するかの経過について、生後7〜12ヶ月までに吃音症状に大きな回復が見られるかどうかが重要な指標であると述べた。つまり、生後12ヶ月以降に自然治癒を期待して様子を見続ける対応は、間違っている可能性が高いということ。
また、慢性化の背景として、女児より男児の方が吃音になる可能性が高いことや吃音当事者の40〜70%に家族歴(家族にも吃音の人がいる)があることも述べた(引用④)。
ここまでは「吃音とはなにか」というテーマでしたが、ここからは「吃音当事者に対する支援」を考えてみましょう。
ICD11では吃音を「発話流暢症」と定義しています。つまり、吃音=流暢に話すことが難しい障害ということです。
流暢に話すことが難しいという点では、母国語以外の言語に慣れていない人にも当てはまります。
例えば、慣れない日本語を話す人に話しかけられた状況を仮定しましょう。話を聞く人は以下を意識しました。
その結果、相手が道に迷っていることが分かり、正しい道を案内できました。
これは一例ですが、良好なコミュニケーションの成立に流暢さは必ずしも重要ではないということであり、吃音当事者に対して、この事実を示すことが支援で重要な視点です。吃音当事者は会話時の相手の反応に敏感であり、吃音症状が出ないこと=良好なコミュニケーションと考えてしまう可能性が高いです。
吃音当事者への支援における適切な支援は「支援者が対応を変えること」であり、適切でない支援は「吃音当事者に対応を求める支援」です。
〇〇さん、落ち着いて、
ゆっくり話そうか
上記は、一見良さそうな支援に見えますが、吃音当事者に「僕は落ち着いてないように見えるのか…」「わたし早口なのかな…」と不安や緊張を与えてしまう原因になります。こういったアプローチでは、吃音当事者が次話すときに身構えてしまいますよね。有力な説として示した通り、吃音は脳に原因があるとされるため、緊張すると症状が悪化するというのも十分頷けます。
また、推測ですが左聴覚野の機能が上手くないため、自分の声を聞いて自分で調整することも苦手でしょう。吃音当事者なりに自分の声を聞いて調整した結果、余計悪化してしまうことも考えられます。
さらに、こういった状況が続くとコミュニケーションから逃げる「回避」という行動をとる場合もあります。どうせ嫌な思いをするなら逃げた方が楽ということでコミュニケーションに参加する機会が減り、よりコミュニケーションのハードルが上がります。こういった負の連鎖を断ち切るには、支援者による安心して会話ができる環境づくりが必要です。
難しい支援を考える必要はありません。
まずは上記3点を意識して、吃音の人にコミュニケーションの場面で自信や安心感を与えることができる関わりや支援が大切だと考えます。
「英国王のスピーチ」は吃音がよく分かる良い作品だよー。
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